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著書『Google流 疲れない働き方』。Googleから学ぶ、これからの働き方について。

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Google流 疲れない働き方

Google流 疲れない働き方

 

 『Google流 疲れない働き方』という本を読了しました。働きたい企業ランキングで常に上位をキープしているGoogle。福利厚生や休日制度などがとても充実しているのはもちろんですが、業務の取り組み方やチームワークの取り方も、他の会社と違う点が多いです。そんな魅力いっぱいのGoogleのピープル・ディベロップメントで働いていたピョートル・フェリークス・グジバチさんが、疲れない働き方について説明されている本です。今回はその内容と感想をご紹介します。(内容はネタバレにならない程度にご紹介します。)

第1章 タイムマネジメントより集中力のマネジメント

ここで取り上げられていたのは、主に以下の4点です。

  1. フローに入れる環境を作る
  2. 集中しやすい環境つくり
  3. 相手に振り回されない環境作り
  4. 反射的に仕事をしない

1.フローに入れる環境を作る

フローとは、何かに長時間没頭しているような、強い集中状態のことです。「1日1.5時間フローに入れれば、生産性は2倍になる。」とのことで、フロー状態に入るための17の要件が紹介されていました。その中でも特に大切だと思った要件を紹介します。

 

◆個人の場合の要件

慣れすぎない環境を作る

流れ作業に飽きるのと同じで、毎回同じやり方で業務に取り組んでいると、やりがいや刺激を感じにくくなります。取り組み方を都度変えるといったように、自分を飽きさせない工夫をすることが大切です。

 

◆チームの場合の要件

チームの一人一人が等しい量の役割を担うようにする

平等性を保つために行うという点でも大切ですが、一人一人が責任を持って業務に携わる環境を作ることにもつながり、有効的です。慣れ合いではなく、緊張感のある中でチームで仕事をすることが、高いパフォーマンスを生み出すことにつながります。

 

傾聴すること

Google社員は「Yes,andの会話」を心掛けているらしく、相手の話を一度受け止め、自分の意見を伝えることの大切さを伝えていました。冒頭が「でも」で始められるより、自分の話を聞いてもらえたと感じられる会話を、コミュニケーションとして取り入れるべきですね。

 

 

 2.集中しやすい環境づくり

 日本の企業は、固定席での業務が一般的ですが、会社に個室やフリースペースなどを用意し、気分転換が行えるようにするといった環境づくりを推奨していました。現にGoogle社では、この固定席を設けないフリーアドレススタイルを導入しています。発想力をより必要とされるクリエイティブ関係の会社は、気分転換することによってその発想力が刺激されるといった点で、導入を検討すべきでしょう。

 

3.相手に振り回されない環境づくり

相手の都合ではなく、自分の都合で仕事ができるように調節するというもの。

そのために、以下の2点を心掛けるよう書かれていました。

 1.事前準備

基本的なことですが、「何を」「どのように」「いつまでに」行えばいいかをしっかり準備します。

 2.ルール決め

 「たぶんやってくれているだろう」「誰かが言ってくれるだろう」ではなく、

 不明瞭なことは必ず確認し、必要であればルール化します。

 

4.反射的に仕事をしない

 指示された仕事内容の目的・理由を考えることです。言われたことをただこなすのではなく、作業工程など効率化・改善できることがないかを考え、自分が楽できる方法を探すことが大切です。

 

 第2章 疲れずに生産性を上げる「エネルギー」と「感情」のマネジメント

 仕事へのエネルギー自分の感情の2つをマネジメントし、仕事の生産性を上げる方法が書かれていました。ここでも特に印象に残った内容を紹介します。

 

エネルギーの状態を見て、取り組む仕事を選ぶ

エネルギーがある(集中力がある)時は、ボリュームの多い仕事をし、エネルギーがない(疲れている)時は、雑務などのより簡単な仕事に取り組む。

つまり、疲れているときには無理に頑張らないということです。

「頑張っている過程」を重視しがちである日本企業の上司からしてみれば、「エネルギーがない時でもしっかり働くように」と言いがちですが、総合的にパフォーマンスを向上させるための息抜きは、時として必要ですよね。

 

仕事=デスクの前にいる、ではない。時間で仕事の出来を判断するべきではない。

「仕事」はあくまでも過程であり、そこからどのような結果を出すかが重要です。だからこそ、過程である仕事の仕方を窮屈な型にはめる必要はありません。長く働いたら評価されるのではなく、効率よく時間内で結果を出すことを評価してほしいものです。

 

スプリントの大切さ

 スプリントとは、仕事において、集中する時間と休息をとる時間を決める、メリハリのある働き方のことです。

日本の企業はマラソン型の働き方と言われています。まとまった日数や時間で一気に働き、休日に休み、また働くというルーティンを繰り返すからです。これでは効果的なインプット・アウトプットがしにくい環境だと言われています。フレックス制のように勤務時間をある程度調節できるような環境を作ることが大切ですね。

 

感情のマネジメント

仕事でむかついた時の対策 
  • 言われたことを認識・整理する。
  • イラっときたときこそ深呼吸。
  • 反論は感情に任せて行わず、論理的に考えてまとめてから行う。

上司や同僚など、仕事をしていれば誰でもイラっとする出来事はありますよね。そういう時は少し時間を空け、上記のように状況・心境を整理することが有効的です。 

自分の調子が悪くてイライラしてしまっているときは、自分の調子が悪いことを周りに伝え、後回しできるものは無理に取り組まないといった工夫も必要です。決して八つ当たりをしてはいけません。

本書では、なんだったら休むのも手だとも書かれていました。「そんなことで?」と思う人もいるかもしれませんが、仕事のパフォーマンスが低下することになるなら、体調不良と一緒であるとのことです。

 

第3章 確実に自分をチャージする食事・睡眠・運動の習慣

仕事のパフォーマンスを高めるために必要な、 「食事」「睡眠」「運動」の3つの大切さについて紹介されていました。

食事

食事のバランスはもちろんのことですが、回数を分けることも大切。必要とされる具体的な栄養素についてもまとめられていて、参考になりました。

 

睡眠

シエスタ制度(仮眠制度)の大切さについて書かれていました。

人間は、午後2~3時ごろに活動が低下する生き物です。無理に働き続けず、仮眠をとって脳も身体も休ませる必要とのこと。

 他にも、よい睡眠をとるために心掛けることも書いてありました。寝つきが悪くなる要因や、その対策まで書かれおり、現代人に当てはまる内容でわかりやすかったです。

 

シエスタ制度については、以前記事を書いたので、よろしければ是非読んでみてください。

シエスタ制度とは。変化する労働制度。 - 徒然なるままに

 

運動

運動する時間を取るのが難しいという人向けに、仕事や通勤・帰宅時間にできる運動が紹介されていました。本の中では仕事中に取り入れる運動がメインに書かれていましたが、他にも「できるだけ階段を使うこと」や「帰りは、最寄り駅の一つ前で降りて、歩いて帰る」など、工夫できる点はありそうですね。

 

第4章 疲れる組織と疲れない組織

そもそも疲れの原因は組織全体にあるのでは?という観点から、疲れる組織と疲れない組織の性特徴について書かれていました。

 

自分を疲れさせる原因は?

やはり上司や同僚など、周りの人間によるストレスが第一の理由であることが多いそうです。 

「仕事はそういうものだから」「いやな上司も我慢してさっさと仕事をすませたい」…。そういうものだとあきらめてしまっているかもしれませんが、実はそれこそが会社にいて疲れる原因であり、日本企業においてなかなか生産性が高まらない大きな理由の一つなのです。

「仕方がない」「どうせ変わらない」とあきらめる癖がついてしまうことが、悪循環の原因だといいます。心理的安全性がなければ、生産性は向上しないというのは、本当にその通りだと思いました。

 

その他に、メルカリを例に挙げ、メルカリが生産性を向上させるために必要な心理的安全性を、どのように作り上げているのかを説明していました。加えてGoogleが生産性の向上のために実践している「Understand emotional intelligence and compassion」についても紹介されていました。

当り前のことだと思う内容もあるかもしれませんが、そういった当り前のことができていない日本企業が多いということにも、改めて気づかされました。

 

疲れる組織と疲れない組織
  • 疲れる組織:忖度が多い
  • 疲れない組織:「わからないこと」は「わからない」と言える。

「忖度」とは、相手の気持ちを推測すること

「相談したら怒られるかもしれない」「上司はこう考えているかもしれない」と考えるこのことこそ、すでにストレスです。わからないことや確認したいことは気軽に聞ける環境が理想です。勝手に事を進められてミスをするよりも、一度説明したことでも何度も聞きに来てくれる方が助かると思います。

 

  • 疲れる組織:本音を言わない
  • 疲れない組織:本音を言う

日本の働く人にとったアンケート結果について紹介されていました。

そのアンケートとは、「上司に本音を言えるかどうか」というもの。結果は、「本音を言わない」そして「上司を信用していない」と答えた人が、全体の40%ほどにまで達していました。

本書では「信頼はパフォーマンスに直結する」という意見のもと、この結果について問題視していました。こちらについては私も同意見ですが、上司などのいわゆる管理する立場の人たちのマネジメントの仕方が改善されないと、その下で働いている社員の満足度はあがらないので、この点の改善策を考える必要があると感じました。

 

その他にも、「リストをとる・とらない」「目標や期待値を具体化しているかどうか」「失敗に対するその後の処置について」などについて、詳しく説明していました。

個人的には、「失敗に対するその後の処置」がためになりました。「誰の責任か」を追及するのではなく、「どこがうまく機能し、どこが問題だったのか」を見ることが大切という点に、強く共感しました。

 

問題は管理職の人たち?

日本企業の管理職の人たちの能力の低さについても言及されていました。

「部下を振り回す人はありえない」「丸投げの指示や杜撰な管理はマネジメントとはいわない」と、力強く訴えていました。

ではそんなダメな上司に当たった時はどうすればいいのかという対策についても説明していました。

 

  • ダメな上司に当たった時の対策

Manage your manager(管理職を管理する。)

「こういわれたらこう聞き返す」といった例が書いてあり、わかりやすかったです。

 

  • 疲れるコミュニケーションに巻き込まれないためには

色々書いてありましたが、「自分の違和感を無視しない」という言葉が一番しっくりきました。モヤモヤした気持ちを抱えてなんとなく了承して仕事を進めると、そのモヤモヤはずっと続きます。不明な点や不満な点は必ず確認を取り、伝えることが大切ですね。

 

大方の人は、「目の前の仕事を片付ける」ことに責任を持ちすぎて、マネジメントをどう動かすかという点も含めて、最終的にどういうアウトプットを出すのかについて関心がないようです。

この言葉はグサッときました。自分自身の責任を果たすという大切さを改めて認識しました。

 

第5章 疲れない働き方

 疲れない働き方についてのまとめの章です。一番印象に残ったものを紹介します。

 

仕事のギブ&テイクを考える

「自分が会社や周りに与えられる・出せるものは何か」「それによって何を得たいと思っているか」を考え、仕事を明確化させる必要があります。

目先のことだけを考えてしまうと、仕事の目的意識が薄れたり、キャリアアップのビジョンが思い描けなくなりがちです。会社に何をギブできて、そこから何をテイクされるのかを考えれば、自分がやらなければいけないことも見えてくると感じました。

 

全体の感想

文章が読みやすく、ページ数の多さを感じさせないほどスラスラと情報をインプットできる本でした。Googleの働き方をただ紹介するのではなく、今の日本企業全体が抱えている問題をピックアップしつつ、それらについて具体的な対策を説明していたので、自分の体験と重ね合わせながら読むことができました。

ストレスを抱えている人、疲れない働き方をしたいと思っている人は、是非読んでみてください。