あの感動作が発売されてから約1年の時を経て、とうとう続編が発売されました。それは『ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~』です!発売されてすぐにダウンロードし、プレイしました。無我夢中でプレイして早くもクリアしたので、今回はライザ2のレビューをご紹介します!
※ストーリーの部分がネタバレを含んでいます。見たくない方は要注意です。
アトリエシリーズとは
アトリエシリーズは、コーエーテクモゲームスのガストブランドから発売されているRPGゲームです。錬金術がテーマとされており、アイテムや武器などを調合したり、調合するための素材を各地で集めるといった特徴的なシステムがあります。
ライザのアトリエ2は秘密シリーズの2作目にあたります。前作から主人公続投なのですが、これはアトリエシリーズで初の出来事です!
調合システム
出典:探索・調合システムに変化あり! 『ライザのアトリエ2』の気になる追加要素をチェック! – PlayStation.Blog
新たな要素も加わり、前作よりも自由度が上がり、調合しやすくなっていて良かったです!
具体的に良かった点は、以下の通りです。
- 調合時のツリーが見やすくなった。
- 新要素『エッセンス』で特性の上限を伸ばすことができ、自分なりの武器やアイテムを調合できる。
- 新要素『エボルブリンク』でさらに強力なアイテム作成が可能になった。
敵の弱点やキャラの能力に合わせて、どの特性を上げるかやどのアイテムを作るかを考えるのが楽しかったです!
採取
出典:『ライザのアトリエ2』が今冬発売決定。主人公続投は『アトリエ』シリーズ初【Nintendo Direct mini】 - ファミ通.com
泳ぐ・ロープで飛ぶ・よじ登る・魔物に乗るといった新たなアクションが加わり、採取の楽しみが増えました!海の中や魔物に乗った時にしか手に入らないレア素材も多く、「ここでこんな素材が手に入るのか!」といった感動がありました。
具体的に良かった点は以下の通りです。
- 新たなアクションが加わり、ダイナミックに採取ができるようになった。
- どこからどの素材が取れるのか、最初から確認できるようになった。
- 装備できる採取道具枠が増えたおかげで、装備の入れ替えなど面倒な作業が減った。
出典:『ライザのアトリエ2』が今冬発売決定。主人公続投は『アトリエ』シリーズ初【Nintendo Direct mini】 - ファミ通.com
ちなみに乗れる魔物はこちら。めちゃくちゃかわいいですよね。しかもこの魔物に乗っている間は敵の魔物が逃げていくので、採取がしやすい状況になったのも嬉しかったです。
バトルシステム
出典:探索・調合システムに変化あり! 『ライザのアトリエ2』の気になる追加要素をチェック! – PlayStation.Blog
前作よりもアクロバティック・戦略的・スピーディーになり、爽快感を感じられるバトルをすることができ、大満足でした!
具体的に良かった点は、以下の通りです。
- R1でスキル技を出すことができ、通常攻撃とのコンボを繰り出すことができる。
- 新要素『コアドライブ』により、組み合わせたアイテムで強力な技を出すことができる。
- コアゲージが各キャラに分配されるようになった。
- コアゲージがためやすくなった。
- ガード機能が付き、防御の手段も増えた。
- アイテム所持枠数が皆共通になった。
前作ではアイテムを使うためのコアゲージが全員共通だったため、すぐにゲージがなくなってしまいました。またコアゲージを増やすためのコンバートも手間だったので、その点が改善されたのが個人的に嬉しかったです。
新要素『コアドライブ』が強すぎなので、死にそうになった時はこれに頼りっきりでした(笑)発動条件となる組み合わせのアイテムも様々なので、それに合わせて調合するのも楽しかったです。
ストーリー
今回唯一残念なところが、このストーリーでした。全体的に内容が薄く、盛り上がりもなく、全く感情移入できませんでした…。
※ここからは一部ネタバレ有り・酷評有りです。(そして長いです)見たくない方はご注意ください!
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前作のストーリーの完成度がかなり高く、とても感動したので、それも相まって今作のストーリーの粗さに正直絶望してしまいました…。
前作『ライザのアトリエ』の素晴らしいストーリー
まず前作『ライザのアトリエ』のストーリーの良かった点から紹介させてください。
- テーマに沿った一貫性のあるストーリー
- 主人公たちの成長を感じられる
- 個性的なキャラクターが同士の絆を感じられる
- 緻密に作り上げられた圧倒的な完成度
上記をそれぞれ詳しく紹介している記事を以前書きましたので、こちらも是非読んでみてください!
前作はとにかく神ゲーです。
今作『ライザのアトリエ2』の残念なストーリー
では次に今作『ライザのアトリエ2』のストーリーについて、残念だった点を以下にまとめます。
- テーマがブレブレで一貫性がない
- キャラクターの設定が乱暴
- それぞれの理由付けが弱い
1.テーマがブレブレで一貫性がない
出典:『ライザのアトリエ2』新映像が公開。新キャラクターとして、謎の小動物フィーが登場。ライザの幼なじみのタオ、レントらしき姿も? - ファミ通.com
今作のキャッチコピーは、「君を離さない。たとえ、この力を失っても――」。ここからがっつりネタバレになりますが、この「君」というのは、今作で新登場したフィーという謎の生物のこと。そして「たとえ、この力を失っても」の「力」はライザの持つ力のことです。今作では遺跡の謎を解き明かしていくのがメインなのですが、ライザは遺跡に眠る記憶を読み取る力を手に入れました。そしてそれはフィーが与えてくれた力とのこと。
フィーはモリッツさん(ボオスの父親)から渡された卵から急に出てきました。そして仕方なくライザが飼うことになります。何か物語の大きな鍵を握っているのか?と思ってプレイしていましたが、全く関係ありませんでした。正確には関係はあるのですが、「え、それだけ?」という感じで拍子抜けするレベル。ストーリー上でも全く役に立たないどころか、遺跡の結晶の力を吸いつくし、異界の扉を開けてしまう始末。しかも結晶の力がないと生きていけないというとんでもなく迷惑な生き物でした。。。(フィーが好きな人ごめんなさい…。)
それにもかかわらず、ストーリーは「フィーが死なないようになんとかしよう」という視点で展開されていくので、こちらは全く感情移入ができず、完全に置いてけぼりでした。
エンディングではどうなるかというと、結局フィーは異界に帰ります。(正確にはライザが異界に帰します。)ここで疑問が。
「君を離さない」ってあったけど、結局異界に帰すんじゃん!
さらに、フィーを異界に帰すときにアンペルさんから、「フィーを異界に帰すと、手に入れた力(遺跡の記憶を読み取る力)は失うことになるけどいいのか?」と神妙な顔で問われるのですが、失う力ってそれだけ?と思ってしまいました。遺跡の記憶を読み取る力は、それくらいあってもなくても変わらないほど影響力の小さいものでした。
テーマがブレブレでモヤモヤしか残らないエンディングでした…。
2.キャラクターの設定が乱暴
ストーリーに続いてとても不満だったのが、ライザとレントのキャラクター設定です。
まずはライザから。
出典:『ライザのアトリエ2』新機能“フォトーモード”や“採取”、“調合”などのパワーアップ要素、キャラクター詳細情報が公開 | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com
ライザへの不満な点は、前作からの成長ぶりを引き継がれていないということです。
前作のライザは、最初は家の手伝いをしない。退屈な田舎暮らしにうんざりして、刺激を求めて冒険に出るといった精神年齢の幼い子供でした。しかし錬金術に出会い、それを通して様々な困難に立ち向かい、成長していきます。
具体的には、
- 軽率な行動をとらなくなった。(思慮深くなった)
- 思いやりの気持ち・気配りがうまくなった。
- 錬金術師としての才能が開花し、技術もプロ級になった。
という成長を遂げたと感じました。
もちろん今作でもこれらを継承していくと思っていたのですが、実際プレイしてみると、
- 軽率な行動が多い。(とにかく進もう → とんでもないことになった、といった流れに幻滅。)
- 浅はかな発言が目立った。(自分が犯した大失態に対して、「私は~していただけなのに…」と言ってみたり。)
- デリカシーのない発言が目立った。(貴族のしがらみに悩むパティに「でも自分の好きなことしたら?」と簡単に言ってみたり。)
という結果に。
正直、こんなの僕の知っているライザではない!と幻滅してしまいました…。
あまりにも納得できなくていろんな記事を徘徊していたところ、今作のプロデューサーを務めた方のインタビュー記事を発見しました。そしてその内容を読んで、なぜこんなことになってしまったのか、少し理由がわかりました。
記事を読んでいて気になった点は、
- ライザのキャラ人気が高かったのが大きな理由で、続編を出した。
- 「フィーを通してライザの“母性”を感じ取ってほしい」という言葉。
です。
1だけみると特に悪い理由な気がしないと思いますが、2と合わせて考えてみて、自分の中である答えにたどり着きました。
「ライザというキャラをゴリ押しして萌えを感じさせれば、ライザ2も売れるだろう」という考えに至ったんだな、と。だから前作のライザの成長ぶりは無視されるし、「母性を感じ取ってほしい」とかいう謎の要素も追加されたんだなと。こちらとしてはライザに母性なんて全く求めていない。というか、なぜライザに母性を感じさせたいと思ったのでしょうか。前作の冒険を経たライザのさらなる成長を見届けたかったのに…。前作では錬金術師としての成長ぶりも見もの、今作では錬金術はおまけ扱いのようにも感じられました。(仲間と協力して調合をするといった感じもなく、一人で淡々と簡単に調合していく、といった感じ。)
僕の知っているライザはどこに…。
お次はレント。
ライザ達と 久しぶりに再会したレントは、最初からかなり不機嫌で感じが悪い状態でした。その理由がキャライベントで明らかになります。それは、「旅の途中で他人を助けたことによって痛い目を見た」というもの。これは納得できる理由なのですが、ライザ達に八つ当たりするほどのことでしょうか。しかもこの不機嫌でイライラした状態、割と後半までずっと続きます。なのにメインイベントでは仲間と一緒にワイワイするレント。しかしキャライベントになると不機嫌になるレント。イライラしているのかしていないのかわからなくなりました。
3.それぞれの理由付けが弱い
理由付けが弱い点はいくつかあるのですが、まず一つ目は、仲間たちのフィーへの愛着心です。
前述にも記しましたが、今作はフィーの飼育物語です(まとめすぎ)。ライザはフィーと最初に出会った当事者なので、まだ情に流されるのも理解できなくないのですが、他の仲間たちはフィーに特別思い入れはないはずです。なのにみんなが「フィーちゃんを助けなきゃ!」と一致団結しているのが意味不明でした。振り返ってみると、フィーがパティを助けるシーンやほかの仲間に媚を売っているシーンなど、フィーのゴリ押しシーンが多々あって変だなと思ったのですが、これは制作側の策略だったのでしょうか…。違和感しか感じませんでしたが…。「なんでそうなったのか」という根本的な部分が最後までわかりませんでした。
二つ目は、ライザの旅の目的です。
前作の大冒険の後、ライザは一人クーケン島に残りました。しかし錬金術のスランプを感じていました。そんな時、王都にいるタオから遺跡探索の誘いがあり、錬金術の何かヒントになるかもとのことで王都に向かう、というのが今作の冒険の始まりです。
しかしその後の展開は、
- フィーと出会う
- 遺跡探索をしているとフィーが結晶の力を勝手に吸収。
- 結晶の数がなくなってきて、フィーが空腹に。このままでは死ぬ!
- みんなでフィーを助けよう!
- フィーに結晶の力を食べさせていたら異界の扉を開けてしまう。
- 結局フィーを異界へ帰す。
- 「やりきった」といってライザはクーケン島へ帰る。
というストーリー。
王都に来た目的ってなんでしたっけ…?
遺跡探索をすることになったのは、遺跡に錬金術が関係していて、何かヒントをもらえるかもとのことだったはず。なのにフィーを異界へ帰したら「やりきった」って、え、錬金術のスランプはもう克服したの?!っていう。結局遺跡探索をしていて錬金術の何かを得られたわけでもないのです。謎、謎です。
ストーリー以外が良かっただけに残念
ストーリーについては酷評になりましたが、それ以外の戦闘・調合・グラフィックなどはどれも良い形に進化していてとても楽しめました!相変わらずやりこみ要素もあり、今後もDLCがあるとのことでまだまだプレイできそうです。
ただ、前作のストーリーが神レベルで良かっただけに、今作のストーリーの薄さがとても残念でした…。アトリエは1シリーズが3~4部作なのでおそらく続編が出ると思います。その時ライザが主人公続投なのかはわかりませんが、ストーリーの構成については、何を大切にすべきかをもう一度考えてほしいです。願わくば、前作を素晴らしい感動作にしていただいた、シナリオライター・高橋弥七郎さんにもう一度担当していただきたい…。
そして前作の「ライザのアトリエ」は本当に神ゲーかつアトリエ未経験者の人でも問題なく触れられるので、是非プレイしてほしいです!