
3月21日に行われた「北区内田康夫ミステリー文学賞」の授賞式&記念イベントに、今年も行ってきました!今年もミステリー好きが大満足する素敵な内容だったので、そのレビューを紹介していきます。
当日のプログラム

全体の流れは例年通り、「第一部:授賞式」と「第二部:記念イベント」の二部構成です。
「第二部:記念イベント」では、去年(第23回)の大賞受賞作品「紅屋お菊と出戻り狐」(原作者:室星尚明)の演劇が上演されました。
第一部:授賞式
賞の種類は下記の通りです。
- 大賞(1編) 賞金:100万円
- 特別賞(1編~2編) 賞金:各10万円
今年は応募総数がなんと203作品で、去年の122作品を大幅に上回る結果となりました!応募者の最年少は19歳、最高齢は87歳だったそうです。
そして今年の最終ノミネート作品は下記の4作品でした。

- 「薄い壁」(作者:鮎村咲希)
- 「墨痕鮮やか23点」(作者:豊田旅雉)
- 「花見長屋」(作者:杜村真理子)
- 「予備的遺言」(作者:積本絵馬)
審査員の皆様の総評として、どれも文章力が素晴らしく、甲乙つけがたい接戦となったそうです。だからこそどれだけミステリー作品としての完成度が高いかで評価をつけることになったようです!
そして今年の受賞作品は……
大賞:「墨痕鮮やか23点」(作者:豊田旅雉)
特別賞(区長賞):「薄い壁」(作者:鮎村咲希)
でした!!おめでとうございます!!🎉
また特別賞(審査員特別賞)は、去年に続いて該当者なしとの結果となりました。そんな厳しい審査の中での受賞とのことなので、その凄さが際立ちますね!
大賞を受賞された豊田旅雉さんの受賞の言葉の中で、「非才の身では、経験するしかない。とにかく経験することでしか、人間の心の機微は見えてこない」という内容がとても刺さりました。想像力だけで補える人はほんの一握りで、まずは経験して知識を得て、色んな人を見ることが大切なのだと感じました。これは執筆に限らず、仕事全般に当てはまる大切な視点だと感じました。
とても謙虚な方で、お人柄も素敵な方でした!✨
第二部:記念イベント
10分の休憩を挟み、演劇「紅屋お菊と出戻り狐」が上演されました。今回は劇団美松の皆様が演じられており、江戸の世界観や演出がすごかったです!原作を知っているだけに、どのように演じられるのだろうと思っていましたが、コメディ要素もあり、しかしシリアスな場面では迫力のある演技が繰り広げられ、最後まで楽しく観ることができました。
受賞作品の感想
会場で配布されたブックレットで、それぞれの受賞作品を拝読しました!それぞれネタバレは避けて感想を書きます。
「墨痕鮮やか23点」(作者:豊田旅雉)
主人公である新聞記者の月崎大介が、交通事故で死亡した部下の死の真相を解き明かしていく物語。作者である豊田さんが元新聞記者ということで、取材現場の様子などがリアルに描かれていました。また真相には記者ならではの要素が入っており、最後の最後で「だから美術館を取材していたのか」と理解することができました。選評で書かれていた「犯行理由が少し物足りない」という点は確かにそうだと思いましたが、どうなるのだろうと最後まで目が離せない作品で面白かったです!
「薄い壁」(作者:鮎村咲希)
薄い壁のアパートに暮らす冬川深織と曾根井夕輔の二人が、上の階から聞こえる音を巡ってある真相にたどり着く物語。「他の人の音が気になる」「パワハラ」「友人からの陰口」など、現代で実際に存在していそうな登場人物の設定。そして彼らの心情の描き方がとても生々しく、いい意味で読んでいて胸がキュッと締め付けられました。選評で書かれていた「被害者が取ったSOSの手段がリアリティに欠ける」という点は自分も同感でしたが、それを上回る文章力と構成力で読後の満足感が大きかったです!
受賞作品は、「Webジェイ・ノベル 北区内田康夫ミステリー文学賞 特設サイト」で読むことができるので、気になった方はぜひ読んでみてください!
毎年参加する魅力を感じた授賞式
北区内田康夫ミステリー文学賞の授賞式に2年連続で参加するのは今年が初めてでした。応募総数や応募者の属性、作品の評価内容などを去年と比較できるので、これは毎年参加する大きなメリットだと感じました。
また、昨年の大賞作品を毎年舞台化するというのも、この授賞式ならではの魅力です。来年の受賞作品も読みたいですし、今年の大賞作品「墨痕鮮やか23点」の舞台化も楽しみなので、来年ももちろん参加したいと思います!